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シチュエーション別キャンピングカー選び 第19回
5.3mのバスコン〜セブンシーズはライバルを凌駕したか?
いつかはバスコンという言葉がある。
それほど、バスコンはキャンピングカーオーナーの理想と言っていい。
その理由は、広さはもちろんだが、もともと人を快適に乗せるクルマなので乗り心地が良いこと。
ほとんどのキャンピングカーが荷物車ベースであることを考えると、バスコンというのはそれだけでステータスである。
そのようなステータスのバスコンなので、価格も1千万円超えが普通なのでは、と見てみると、意外に700万円〜800万円(車両本体価格)のモデルも多いことに気付く。
これなら、上級キャブコンとあまり変わらない。
それならトラックベースのキャブコンではなく、一気にバスコンと言う選択肢もある。
そんな中、トイファクトリーがセブンシーズを発表した。(写真下)
これは、1210万円(車両本体価格)で、スタイリッシュな外観と豪華な内装をウリにした、バスコンの中でも上級マーケットをターゲットにしたモデルである。
どちらかと言えば、普及モデルが主流になりつつあったバスコンマーケットに現れた、エポックメーキングなモデルと言える。
そこで、現在販売されているバスコンの代表モデルを集め、比較してみた。
ピックアップしたのは、以下のモデル。
・ACSエテルノオクタービア(コースター/シビリアン/ローザ) アールブイビックフット
・ランドホーム RVランド
・セブンシーズ トイファクトリー
・トロッター 東和モータース販売
・オークランド タイプD ナッツRV
・Lキャビン マリナRV
ACSエテルノオクタービア(コースター/シビリアン/ローザ) アールブイビックフット
おなじみのACSを搭載するバスコンである。
大容量のソーラーパネルで発電した電気で、オール電化を計る。
サブバッテリーは105Ahを4個搭載する。
ACSエテルノオクタービアの魅力は、この大電力を生かした快適装備である。
冷蔵庫は137リッターの大型、家庭用エアコンはオプションで設置可能。
ACSエテルノオクタービアには窓ガラス仕様とパネル仕様が存在する。
窓ガラス仕様は外観がそのままだが、パネル仕様は、後部ウインドウが断熱/防音パネルとアクリル2重窓が架装される。
それぞれのタイプにロングとショートが存在し、ロングは6990mm、ショートは6255mmの車長である。
レイアウトは、前部にL字型ロングソファを持つダイネットと、後部はハイマウントダブルベッド、その中間にギャレーとユーティリティールームが置かれる。
シャワー設備は特に設定されておらず、給排水タンクも各20リッターである。
なお、RVビックフットはACSシリーズ以外でも、後部ダブルベッドタイプのエポックミュー、ザナドゥ―、オクタービア、パラドール、あるいは2段ベッドを持つアルカディア、グランディーネ、シエル、シェリトなど多くのバスコンモデルをリリースしている。
更にそれぞれ、窓埋めしたパネルタイプと、窓埋めしていないウインドウタイプ、そして車長が標準とロングから選択できるので、その組み合わせにより、豊富なセレクションから選択できる。
ランドホーム RVランド
ランドホームシリーズではコースターとローザからベース車を選択できる。
全車後部窓埋めとアクリル2重窓標準装備。
レイアウトは前部にダイネット、後部にハイマウントダブルベッド、中央にギャレーとユーティリティールームのレイアウト。
ダイネットはL字型ラウンジソファタイプと対座シートから選択できる。
対座シートの場合は、2列目シートが前向きにもセットできるので、6名が前向き着座でドライブできる。
レイアウトの特徴は、ダイネットはベッド展開でき、通路まで使った大きなベッドとなるし、後部のベッドルームは、セカンドダイネットとしても使用できること。
自由度の高いレイアウト設定で、ファミリーでもカップルでも使うことができる。
電装系の特徴は、190Ahを2個使ったサブバッテリーシステム。
これを一つはエアコンや電子レンジなどの100V負荷機器に使用し、もう一つは照明やFFヒーターなどの12V負荷機器に使用する。
セブンシーズ トイファクトリー
詳しい解説は以前にも記事があるが、スタイリッシュなエクステリアと優雅で豪華なインテリアを特徴としている。
エクステリアでは、左右の窓をエクステンションボックスで架装しており、徹底した断熱が計られている。
インテリアは前部に対座ダイネット、後部にハイマウントのツインベッドを持つベッドルーム、そしてその中間にギャレーとサニタリールームを配している。
家庭用エアコンや65リッター冷蔵庫、電動カセットトイレなどを標準装備、テレビはダイネットとベッドルームそれぞれに装備するなど充実した機能を持っている。
電装系では、406Wのソーラーパネルを標準搭載し、サブバッテリーは標準で180Ahのものが3個搭載されており、エアコンもサブバッテリーで駆動できる。
トロッター 東和モータース販売
コースターを使用したバスコン。
ベーシックな仕様が基本になっているので、好みに応じてオプションで機能を追加していくことができる。
装備を追い求めるのではなく、手ごろな価格でバスコンオーナーになることができる。
エクステリアは特に架装していないが、オプションで窓埋めも可能。
リアには観音開きドア仕様かトランク仕様かを選択できる。
また、助手席にドアを付けることも可能。
レイアウトは、前部に対座ダイネット、最後部にベッドルーム、中央にギャレーとユーティリティールームを配置するオーソドックスかつ使いやすいもの。
ダイネットをベッド展開することができ、後部ベッドを含めて5名の就寝ができる。
また、最後部のベッドルームはダイネットにして2ダイネットとしても使うことができるのが特徴。
標準装備は比較的基本的なアイテムにとどまり、外部100Vからの充電やインバーター、電子レンジなどはオプションとなる。
ただし、FFヒーターや90リッター冷蔵庫は標準装備される。
カセットトイレや温水シャワーは設定が無い。
オークランド ナッツRV
コースターを使用したバスコンで、コストパフォーマンスを追求したモデル。
エクステリアは基本的にはオリジナルのままだが、オプションで窓埋めも可能。
後部は観音開きドアが装備される。
レイアウトは、前部に対座ダイネット、後部は、タイプLがセカンドダイネット兼フロアベッド。タイプDは常設ハイマウントダブルベッド仕様となる。
中央にはギャレーとユーティリティールームが配置される。
タイプDのハイマウントベッドは、セカンドダイネットとしては使用できないが、下が大きな収納庫になる。
ギャレーは二口コンロとシンクが一体になったコンビネーションシンクを採用。
調理スペースも広い。
90リッター冷蔵庫やFFヒーターが標準装備されるが、電子レンジはオプション。
また、エアコンや温水シャワーの設備は設定されていない。
Lキャビン マリナRV
Lキャビンシリーズはコースターやシビリアンをベース車に10種類以上のレイアウトを展開している。
その中には、オーソドックスな対座の2ダイネットや、後部をハイマウントダブルベッドにしたレイアウトもあるが、縦置き2段ベッドや両側2段ベッドと言った他では見られないレイアウトも存在する。
オーダーメイド的な製作手法のため、レイアウトの自由度は高い。
外装はノーマルのままでも断熱処理されるが、モデルにより窓埋めが標準装備のものもある。
内装も手作業で進められ、高い品質を保っている。
基本的にどのレイアウトでも冷蔵庫は標準装備され、サニタリールームを持つレイアウトでは温水シャワーが標準装備される。
電装系は100Ahのサブバッテリーが1個と走行充電、外部100V入力、300Wインバーターが標準装備されるが、オプションで追加バッテリーも可能。
更にオプションで、発電機やソーラーシステムも装備できる。
エアコンは家庭用の設定が無いのが残念だが、ルーフクーラーがオプション設定されている。
Lキャビンの特徴は、手作りによる製法のため自由度が高いことと、温水シャワーまで装備できる機能性の高さである。
まとめ
参考に、ACSエテルノオクタービア、ランドホーム、セブンシーズの3モデルを比較してみた。
どれも窓埋めを施した上級クラスで、コンセプト的に近いモデルである。
まず、ターゲットユーザーを考えてみると、ランドホームはファミリーをターゲットにしていると言える。
対座ダイネットモデルは、2列目、3列目とも前向き乗車ができ、また、ダイネットを展開するベッドは通路まで埋めて最大面積を取ろうとしている。
後部ベッドは上段ベッドも設けられている。
更に、後部ベッドはセカンドダイネットとして使用でき、フロントダイネットと合わせてファミリーで寛げる。
即ち、ファミリーが移動し、寛ぎ、ゆったり就寝できることを目指している。
一方、ACSエテルノオクタービアとセブンシーズは、優雅なふたり旅を想定していると言える。
特にACSエテルノオクタービアはダイネットはソファとし、優雅さを演出している。
セブンシーズは4名が対座できるダイネットではあるが、やはり4名では多少窮屈で、二人で使うのが理想であろう。
何より、セブンシーズの落ち着いた、高級感のあるインテリアは、ふたり旅に似合っている。
しかし、ACSエテルノオクタービアとセブンシーズでは、旅の考え方が異なっている。
即ち、セブンシーズでは温水シャワー、カセットトイレを完備した快適なサニタリールームが用意されているのに対し、ACSエテルノオクタービアでは、ユーティリティールームとして用意されているだけで、温水シャワーやカセットトイレの用意は無い。
ただし、装備がないことが欠点と言うことではない。
ACSエテルノオクタービアでは、温泉や外部のトイレを積極的に使い、その分コストを下げたり、車内を広く使うといった方向の考え方なのである。
セブンシーズが欧州車的なコンセプトに近く、ACSエテルノオクタービアは国産キャンピングカーの流れの延長線上のモデルであると言えるのではないだろうか。
その意味では、セブンシーズのライバルは他のバスコンではなく、欧州モーターホームなのかもしれない。
ビルダー | RVビックフット | RVランド | トイファクト リー |
車名 | ACSエテルノ オクタービア (パネル仕様) |
ランドホーム | セブンシーズ |
ナンバー区分 | 8 | 8 | 8 |
乗車人数 | 7 | 10 | 7 |
就寝人数 | 4 | 6 | 5 |
ベース車 | コースターLX | コースターLX | コースターLX |
窓埋め | ○ | ○ | ○ |
サブバッテリー | ○(105Ah x4) | ○(190Ah x2) | ○(180Ah x3) |
バッテリー増設 | - | - | - |
走行充電システム | ○ | ○ | ○ |
外部100V入力 | ○ | ○ | ○ |
インバーター | ○(1500W) | ○ | ○(1500W) |
ルーフベンチレーター | ○ | ○ | ○(x2) |
ソーラーシステム | ○(155W x3) | OP(210W x2) | ○(406W) |
リアベッドタイプ | ハイマウントダブル | ハイマウントダブル +上段(ダイネット使用可) |
ハイマウントダブル |
リアベッド(mm) |
1820x1650 | 1800x700 1870x1500 |
|
ダイネットタイプ | ラウンジ | ラウンジor対座型選択可 | 対座 |
ダイネットベッド(mm) | 1360x1850 | ||
コンロ | ○(1口 IH) | ○(2口) | ○(卓上) |
シンク | ○ | ○ | ○ |
給水タンク | ○(20L) | ○(85L) | ○(70L) |
排水タンク | ○(20L) | ○(75L) | ○(70L) |
冷蔵庫 | ○(137L) |
○(65L) OP(100L) |
○(65L) |
電子レンジ | ○ | ○ | ○ |
ユーティリティールーム | ○ | ○ | ○ |
トイレ | OP(ポータブル) | OP | ○(カセット) |
FFヒーター | - | - | - |
ヒーター/ボイラー | - | ○ | ○ |
ルームエアコン | OP(家庭用) | ○(家庭用) | ○(家庭用) |
温水シャワー | - | ○ | ○ |
発電機 | - | - | - |
サイドオーニング | OP | OP | OP |
全長(mm) | 6275 | 6255 | 6255 |
全幅(mm) | 2065 | 2035 | 2100 |
全高(mm) | 2735 | 2700 | 2680 |
価格(万円) |
948 | 1005 | 1210 |
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