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リチウムバッテリーはサブバッテリーの本命になるか?(1)

キャンピングカーで少し長いクルマ旅をしていると、常に電気のことを気にしなければならない。テレビを長時間観たり、電子レンジを使ったら、翌日は充電をしっかりする必要がある。冷蔵庫も夜は電源を切る必要があるかもしれない。 そんな電気の問題を解決する手段として注目され始めているのが、リチウムバッテリーである。今回の東京キャンピングカーショーでも、リチウムバッテリーの提案が見られたので、レポートする。

2月に幕張で開催されたジャパンキャンピングカーショーで、日産がリーフで使用されているリチウムバッテリーを、NV350キャラバンに搭載したコンセプトカーを展示した。

詳しくは記事を参照いただきたいが、一言で言えば、キャンピングカーのサブバッテリーが、現在の鉛バッテリー(ディープサイクルバッテリー)からリチウムイオンバッテリーに移行する可能性を示したものだ。

従来の鉛バッテリーの問題点は、まず、容量が上げられる。
電気が減れば走行充電すればよいが、走行充電は、まずメインバッテリーへの充電が優先され、サブバッテリーに供給されるのは”お余り”にすぎない。
走行充電で、空になったサブバッテリーをフル充電するには、とんでもない距離を走る必要がある。
そこで、ソーラー発電で補う方法もあるが、十分な発電量を得るには大きなルーフ面積が必要だし、また曇っていたり、雨が降っては、発電量は激減する。
容量を増やすために、鉛バッテリーをたくさん積むと、スペースと重量は非現実的なものとなる。
容量だけではない。数百回充放電すると寿命となる鉛バッテリーは、2〜3年で経年劣化により寿命となる。

このような、鉛バッテリーの欠点を解決するのが、リチウムバッテリーである。
容量が大きくても、比較的小型で軽く、急速充電もできる。
そして、数千回の充放電に耐え、また、劣化が少ないので、車体と同じくらいの寿命となる。
リチウムバッテリーは、このような特長を持つ次世代のバッテリーとして注目されつつある。

さて、今回のキャンピングカーショーでは、数は少ないものの、リチウムバッテリーを謳うビルダーが増えたこと、またリチウムバッテリーを実際に搭載するモデルが増えたことが注目される。
まだ本流とは言えないものの、リチウムバッテリーへの移行の兆しと考えてよいだろう。

その一つが、キャンパー鹿児島
同社はハイエーススーパーロングをベース車にしたニューモデル、”インプラス”に、”KULOS(クロス)”と名付けられたリチウムバッテリーシステムを搭載した。(写真)

KULOSはベネテックスというメーカーのリチウムバッテリーシステムで、容量は5,100Wh。
この、5,100Whというのはどの程度の容量かというと、現在一般的に使われている100Ahの鉛バッテリーの、4個以上分となる。
即ち、鉛バッテリーは、12Vx100Ah = 1,200Whの容量を持つので、4倍以上ということだ。
この容量は、600Wのエアコン(平均350Wで計算)なら13時間動かすことができる。

しかし、これは計算上の話でしかない。
実は、鉛バッテリーは、放電電流が大きいほど容量が低下する”容量低減”という性質がある。
鉛バッテリーが1,200Whの容量をフルに使える場合は、約5Aの電流で放電している場合であって、平均的な使用電流の場合、使用できる容量は約半分に落ちてしまう。
これを考えると、5,100Whのリチウムバッテリーは、鉛バッテリーの8個以上の実質容量となるのである。
しかも、リチウムバッテリーは、寿命が来るまで、ほぼ性能が落ちない。

また、大きさ、重量の点でも、鉛バッテリーに比べ、圧倒的な優位性を持つ。
写真はインプラスに搭載されているリチウムバッテリー(KULOS)であるが、ギャレーの下に収まっているのがバッテリー本体であり、この程度のスペースに収まってしまう。


また、鉛バッテリー8個となると、200Kgを超えるが、リチウムバッテリーだと、その1/5程度で済む。
インプラスのようなバンコンにでも、十分に搭載できる大きさと重さである。

さて、リチウムバッテリーにも弱点がある。
それは、充電と放電を同時にできないこと。
例えば、太陽光発電をして充電している昼間は、エアコンを使えないことになる。
しかし、それでは使い物にならないので、KULOSでは、これをうまく解決している。

KULOSのコントローラーは、発電量と消費量を常に監視、比較し、充電と放電を切り替える。
即ち、発電量が消費量より多い場合は、バッテリーは充電状態になり、余った電気は消費に使われる。


また、発電量が消費量より少ない場合は、バッテリーは放電状態になり、発電された電気とともに消費される。



リチウムバッテリーは以上のように理想的なサブバッテリーシステムであるが、問題は、やはり価格である。
リチウムバッテリー単品では、まだまだ高額と言わざるを得ない。

しかし、インプラスは車両本体価格が650万円程度で、5,100Whのリチウムバッテリーとコントローラー、ソーラーシステム、インバーター、家庭用エアコンなどが装備される。
更に、バッテリーの寿命や経年劣化の影響が無いことを考えると、十分検討に値する価格ではないだろうか。

次回は、キャブコンに搭載されたリチウムバッテリーの例を紹介する。

(続く)




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