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シチュエーション別キャンピングカー選び 第13回
ハイエース標準ボディ、ポップアプルーフのファミリーキャンパー

ハイエース及びNV350キャラバンの標準ボディでファミリーユースに適したモデルを紹介してきたが、今回は標準ボディでポップアップルーフを持つモデルをピックアップする。


ポップアップルーフにすることで、余裕のある天井高が手に入り、標準ボディであっても窮屈感はかなり軽減される。更に、ルーフを下げている状態なら、ノーマルルーフ車と車高はほとんど変わりなく、立体駐車場にも侵入することができる。
このため、ポップアップルーフ車は、普段は生活の足とし、休日は広い室内を持つキャンピングカーとして幅広く受け入れられている。

それでは、標準ボディでポップアップルーフを持ち、そしてファミリーが前向き乗車できるモデルをノミネートする。
なお、NV350キャラバンベースでは、ポップアップルーフ仕様車は、残念ながらまだどのビルダーからも発売されていない。

・ツェルトCP 東和モータース販売
・バンテック マヨルカ
・バンテック新潟 VR470p 
・バンテック新潟 プレール 
・ホワイトハウス アイアム 
・ホワイトハウス コンパスビッツ 

ツェルトCP 東和モータース販売
ツェルトはハイエーススーパーロングをベース車にした、同社の代表的バンコンモデルだが、このツェルトCPは、ツェルトのコンセプトを標準ボディに凝縮、更にポップアップルーフを架装したモデル。
ただし、ツェルトにあるエクステンションボックスは無く、外観はノーマルのハイエースそのまま。
ポップアップルーフを上げてなければ、キャンピングカーとは分からない。


レイアウトは、4名対座のダイネットとサイドギャレー、そして後部に子供用ハイマウントベッドの組み合わせ。


ダイネットは2列目シートが前向きになり、計6名が前向き乗車可能。
セカンドシート展開の動画は、こちらで観ることができる。https://www.youtube.com/watch?v=7fXGbYQX4zU

後ろ向きにすると、対座ダイネットになるが、サイドにギャレーがあるため、エントランスいっぱいまで寄せられている。
その代り、ギャレーがすぐ横にあり、冷蔵庫にもシートに座ったままでアクセスできる。
ギャレーコンソールには、丸型のシンクが埋め込まれており、シャワーフォーセットも完備。 これを窓から引き出して車外で使うこともできる。(写真下左)


ベッドはダイネットを展開すると1900x1100mmのフロアベッドとなり、これがメインベッドになる。(写真上右)

後部の常設ハイマウントベッドは、1400x1500mmで、サイズ的に子供用の設定となっている。(写真下左)
ルーフベッドは2200x1170mmあり、大人2名が就寝できるので、ダイネットをそのままにして就寝することも可能だ。(写真下右)



バンテック マヨルカ
「ジル」をはじめとするスタンダードキャブコンで有名な同社の唯一のバンコン。
マヨルカのルーフは、後部がポップアップする。
ルーフ最前部までポップアップルーフになっているので、ポップアップルーフを上げると、広く高いルーフとなる。



レイアウトは2列目と3列目シートに自在シートを採用し、2列目シートを前向きにセットすると、全員が前向き乗車できる。 2列目シートを後ろ向きにして対座ダイネットとなる。


ベッドは、サードシートをフラットにすると、後部のみ1820x1240mmのベッドになる。
この時、セカンドシートとテーブルはセットしたままにできるので、子供だけ先に就寝させて、大人はダイネットで会話することもできる。(写真下右)
あるいは、小さな子供なら、サードシートも倒さずに、最後部のベッドマットだけで就寝することもできるだろう。



メインベッドは全てのシートをフルフラットにしてメークするフロアベッドで、大人2名が就寝できる。
また、ルーフベッドは2150x1015mmで、ここにも大人2名が就寝できる。


また、最後部のベッドボードを取り除くと、大きなラゲージスペースとなり、天井までの高さの荷物も積載可能。
また、跳ね上げ式フレームを下ろすと、上下2段にすることもできる。

ギャレーはシートサイドのコンソールとなっており、丸型シンクがビルトインされる。
冷蔵庫は40リッターのものがオプションで用意されており、サイドコンソールに収納される。


バンテック新潟 VR470p


VR470pはVR470 のポップアップルーフ仕様車。VR470同様TYPE2とTYPE2があり、それぞれVR470と同等である。
VR470の記事でもふれたが、VR470シリーズの特徴は、後部に大きな荷室スペースを持つこと。
シートを前に押しやれば、最大限の積載スペースが確保でき、バイクや自転車など、大きなものも積載できる。(写真下はTYPE2)
キャンピングカーをトランポとしても使用したいユーザーには適した1台で、全員が前向き乗車できる。


また、VR470シリーズのもう一つの特徴が7名就寝できること。
VR470はフロアベッドと後部にベッドボードを渡した上段ベッドにより、5名が就寝できたが、VR470pは更にルーフベッドが追加されるため、計7名の就寝ができる。
ベッドの大きさは、ルーフベッドが2,000x1,100mm、上段ベッドが1,800x1,550mm、フロアベッドが2,100x1,400mmで、それぞれ大人の就寝も可能である。


TYPE1とTYPE2の違いは、3列目シートの有無で、TYPE1は2列目シートにREVOシートを持つのに対し、TYPE2は2列目、3列目にREVOシートを持つため、TYPE1が5名乗車、TYPE2が7名乗車可能である。
TYPE1では、後部にベッドボードを渡すと上段ベッドになるほか、ベッドボードは簡易的な3列目シートとして使え、テーブルを挟んだ対座ダイネットとすることができる。(写真下左)
ベッドボードはサイドラックに収納できる。(写真下右)


TYPE2は、2列目、3列目ともREVOシートのため、3列目シートにも着座してドライブできる他、対座ダイネット時も全席座り心地の良いシートとなる。(写真下)


TYPE2では両シートともバタフライシートになっており、7名が前向き乗車できるほか、折りたたんで前に押しやると、広い荷室となる。


下のレイアウト図は左がTYPE1、右がTYPE2。
TYPE2ではシートのスライドレースがあり、2列目、3列目シートとも前に押しやることができる。


トランポ使用がメインの目的のため、ギャレーや快適装備は最小限に抑えられており、シンクも折りたたんで収納することができる。

電装系はサブバッテリーを含めてオプションとなっており、これら装備が不要な場合は極めて軽装備なトランポモデルとなっている。





バンテック新潟 プレール


プレールは、同社のVRシリーズがトランポに振った設計に対し、快適性に振った作りとなっている。
VR470との最も大きな違いは、後部のラックが大きくなり、電子レンジやポータブル冷蔵庫もビルトインできるようになっていること。
広いキッチンスペースにより、調理も可能だ。


ダイネットは2列目シートと3列目の2脚の単座シートの対座で、5名が着座できる。
プレールの特徴は3列目に単座シート2脚を使用していることで、後部へのアクセスを容易にしている。


2列目シートはREVOシートで、前向きにもセットでき、この時は計7名が前向きに乗車してドライブできる。(写真下左)
このREVOシートはバタフライタイプで、折りたたんで前に押しやると、広いスペースが生まれる。(写真下右)


ベッドは全シートをフラットにしてメークするフロアベッドがメインベッドであるが、ルーフベッドにも大人2名が就寝できるので、計5名が就寝可能。


後部のギャレーは大型のキャビネットが対面する形で配置されており、左側のキャビネットに丸型シンクとポータブル冷蔵庫(オプション)が収納される。
その下には各10リッターの給排水タンクが収納されている。
右側には電子レンジ(オプション)を収納。
各装備が、すっきりと収納される。



ホワイトハウス アイアム
ホワイトハウス コンパスビッツ

同社からは、このアイアムとコンパスビッツの2モデルが、どちらもハイエース標準ボディにポップアップルーフを架装した作りとなっている。
ここでは、これら2モデルを比較する形で紹介する。
なお、アイアムは、標準ボディだけではなく、ロングワイドボディでも製作可能。

アイアムとコンパスビッツの外観上の違いは、エクステンションウィンドウの有無。
コンパスビッツは、右サイドに後部から前部の窓にエクステンションウインドウが架装されているが、アイアムはエクステンションウインドウが無いため、見た目はノーマルのハイエースそのものである。(写真下左がアイアム、右がコンパスビッツ)
なお、ポップアップルーフの開閉する方向が異なっているのにお気付きだろうか?
アイアムは後部が、コンパスビッツは前部が持ち上がる。
これは、8ナンバー取得のための要件として、ギャレー前の高さを確保する必要があるからで、後部にギャレーがあるアイアムでは後ろが、前にギャレーがあるコンパスビッツでは前がポップアップするようになっている。


両モデルとも対座ダイネットを備えるが、アイアムは2列目シートが3名掛けのFASPシートとなっており、3列目の2名掛けシートと対座して5名が対座できる。(写真下左)
これに対し、コンパスビッツはサイドギャレーがあるため、2列目シートは2名着座シートとなり、3列目シートと4名対座のダイネットとなる。(写真下右)

両モデルともFASPシートに成形を加えた”3Dシート”になっており、前向きにセットしたときは身体をホールドするような形で座り心地を良くしている。
なお、ベッド時は、裏側のフラットな成形面を使うため、フルフラットのベッドとなる。


ギャレーの位置は、アイアムでは後部に独立しているのに対し、コンパスビッツではダイネットのサイドに薄型のギャレーが配置されている。
アイアムのギャレーは、小型ではあるが後部に独立しているので、調理スペースはそれなりに確保されている。
また冷蔵庫も40リッターのものが標準装備されている。
コンパスビッツでは、シートの横に小型のシンクとオプションの20リッター冷蔵庫がビルトインされているが、アイアムのように調理するというより、ちょっと手を洗ったり、冷蔵庫の飲み物を取り出すのに適している。(写真下左がアイアム、右がコンパスビッツ)
このあたりも、二つのモデルのコンセプトの違いを見ることができる。


ベッドに関しては、アイアムがフロアベッドとルーフベッドに計3名の就寝を可能としているのに対し、コンパスビッツでは、後部にベッドボードを介して子供用のベッドがセットできるようになっており、フロアベッドとルーフベッドで大人3名、子供用ベッドで子供2名が就寝できる。
コンパスビッツは、どちらかというと小さい子供連れのファミリーが、近場に1〜2泊で遊びに行くようなシチュエーションに向いていると言える。
対してアイアムは、3名程度のファミリーがちょっとした小旅行をする場合にも対応できる。


なお、コンパスビッツの動画は、
https://www.youtube.com/watch?v=bpiW7zN86xE
記事は、
http://campingcarfan.com/NewmodelCompassBits.shtml
で見ることができるので、合わせてご覧いただきたい。

まとめ
ハイエース標準ボディでポップアップルーフを持ち、かつファミリーで使えるモデルを紹介したが、その中でも用途により、分類することができる。
まず、最も明確なのはVR470pで、トランポ使用を前提に考えるなら、このモデルしかない。
バタフライREVOシートが特徴で、折りたたんで前に押しやってしまうと、広い荷室が生まれる。
バイクや自転車を積み込みたい場合は、唯一の選択肢である。

家族の人数が多い場合は、後部にベッドボードをセットできるモデルが有利だろう。
これには、ツェルトCP、VR470p、コンパスビッツが該当するが、就寝スペースだけで考えると、ギャレースペースを最小限に割切ったVR470pTYPE1が有利だろう。
逆に、ツェルトCPとコンパスビッツは、実用的なギャレーと就寝人数を両立されていると言える。

なお、プレールはベッドボードによる上段ベッドを持たないが、5名就寝を可能としている。
これは、対座ダイネット部にギャレーを置かず、後部にギャレーを集約し、フロアベッドで3名の就寝を可能にしているため。
確かに、ベッドボードは使わない場合の収納場所を確保する必要があるが、プレールはベッドボード無しで5名が就寝できるわけだ。

実用になるギャレーが欲しい、というユーザーには、ツェルトCP、マヨルカ、アイアムが良いだろう。
これらは40リッター冷蔵庫を持ち、ある程度の長期旅での調理も可能だろう。
なお、電子レンジ搭載は確認が必要。大容量インバーター、ツインバッテリー化など、も合わせて考える必要がある。

最後に、ハイエース標準ボディでファミリー使用の場合、2列目シート、3列目シートが自在シートな場合がほとんどであるが、ベッド展開や前向き、後ろ向きのやり易さを確認すると良いだろう。
ベッド展開するために、車外に出なければならないような場合は、雨の日のベッド展開が大変になることは容易に想像できる。
また、運転席、助手席からダイネットへの移動、あるいは、ダイネットから後部への移動など、車内での移動も容易か、確認しておくと良いだろう。







2015.01.05





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