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シチュエーション別キャンピングカー選び 第11回
ハイエース標準ボディ標準ルーフベースのファミリーキャンパー


いわゆるファミリーカーとして、ミニバンが主流になって久しい。
特に子供がいるファミリーでは、セダンやワゴンより、ミニバンのほうが使いやすいのではないだろうか。
しかし、ミニバンでは、人数的にファミリーでの車中泊は難しいので、旅館やホテルで宿泊しなければ、日帰りするしかない。
週末はちょっと足を延ばして、一泊の車中泊旅を気軽にしたいというファミリーも多いのではないだろうか。
あるいは、渋滞を避けて目的地まで夜のうちに走り、現地で就寝して、次の日は朝から遊ぶという使い方も考えられる。
そこで、今回はそのようなファミリーに向け、普段は通勤や買い物の足として、休日は家族が就寝できるキャンピングカーとして使えるモデルを特集する。

もちろん、この場合ライトキャブコンも候補になるだろうが、ミニバンの延長線上という位置付けでは、やはり一目でキャンピングカーと分かるモデルは避けられる傾向にある。
実際、このような用途のユーザーの多くが、「キャンピングカーらしくない」外観を選ぶという。


そこで、ハイエースおよびNV350キャラバンの標準ボディ、標準ルーフのモデル、および、これにポップアップルーフを装備したモデルをノミネートしてみる。
ファミリーでドライブするので、全員が前向きに着座でき、4名がゆったり就寝できるレイアウトが条件。
即ち、2列目シートが自在シートになっており、前向き、後ろ向き、フルフラットになり、ポップアップルーフか上段ベッドボードが装着できるモデルとした。

NV200やタウンエース/ライトエースベースのバンコンも考えられるが、実際、この条件を満たすのは、NV200ベースではポップ・コン、ライトエースベースでは、ハナ イブしかないので、今回はハイエースベースのモデルとした。
ただ、ハイエースも商用車なので敬遠するユーザーも多いかもしれない。
しかし、ハイエースはレジャー用途でも多く使われており、そのイメージは変わりつつある。
ホイールなどドレスアップすれば、むしろアクティブでおしゃれなファーストカーである。

恐らく、ハイエースに乗り換えて最も違和感があるのは、ボンネットが無いことだろう。
しかし、これも運転すればすぐに慣れるし、スーパーロングのように内輪差をことさら気にすることもない。
実際の大きさは、トヨタ ノアとほぼ同じなのだ。
高さに関しても、ノアよりも20Cmほど高いが、地下駐車場などには、ほぼ入れる。
女性にも、特に運転が難しいことは無いだろう。

ところで、この条件に当てはまるモデルは大変多いので、以降3回に分けて書くことにする。
初回の今回はハイエースで標準ルーフのものをピックアップする。
NV350キャラバンの標準ボディで標準ルーフのものとハイエース標準ボディでポップアップルーフのものは次回以降、続けて掲載する。
なお、キャラバンでポップアップルーフのモデルは、まだ存在しない。

以下が、ハイエースで標準ルーフのモデルである。
・アネックス ファミリーワゴンS
・アルフレックス コラージュ/アクシス
・オーエムシー カーゴプラス
・オーエムシー ボギー
・カスタムセレクト ロードセレクトNL
・クラフトボックス クローバーバン
・バンテック新潟 バンレボリューションVR470
・リンエイプロダクト ファシールバカンチェス

アネックス ファミリーワゴンS
ファミリーワゴンはリコルソと並び、同社のメインブランドである。
どちらかというとカップル向けのリコルソに対し、ファミリーワゴンは家族数名での使用を想定している。
そのコンセプトは、家族全員が前向き乗車して、しっかり就寝できること。
そのため、ファミリーワゴン全車の2列目シートは前向き着座ができるようになっている。。
ファミリーワゴンのラインナップ中、ハイエース標準ボディ、標準ルーフを使用しているのがファミリーワゴンS。


ワイドボディを使用するファミリーワゴンやファミリーワゴンC、あるいはファミリーワゴンEに対し、ファミリーワゴンSはミニバンと同じ大きさで、日常用途での取り回しが楽である。
なお、オプションでポップアップルーフの追加も可能。

2列目シートにハイエースのオリジナルシートをそのまま流用しているのが特徴。
もちろん前向き着座できるが、背もたれを前に折りたたむと、テーブルになる。
運転席、助手席のシートバックを前に倒して、後ろ向きの席を作り、3列目シートと対座させてテーブルを介したダイネットを形成する。

3列目シートをフラットにし、最後部のベッドボードとつなげると、フロアベッドとなり、大人2名が就寝できる。
なお、オプションで2列目シートを自在シートのREVOシートに変更することができる。
この場合は、REVOシートをフルフラットにすることができるので、更に大きなベッドスペースを作り出すことができる。

更に、ベッドボードにより上段ベッドをセットすることができ、ここには子供3名が就寝できる。
後部ベッドの下は収納庫になっており、家族分の荷物を収納することができる。
また、後部のベッドボードを取りはずすと、自転車などの大きな荷物を積むこともでき、トランポ的な使い方もできる。











アルフレックス コラージュ/アクシス
同社はおしゃれなインテリアを特長としているが、このコラージュもモダンなインテリアが特徴。
コンセプトは、日常にも使えるミニバンの延長線上のキャンピングカーで、特に女性の運転する頻度の高さを考慮している。
そのため、インテリアも運転席、助手席まわりまでトータルコーディネートされ、モダンなインテリアとなっている。


レイアウトは、2列目に自在シートを装備、全員で前向きに着座してドライブできる。
3列目は、ベッドボードをアレンジして前向きに着座できるシートになるので、2列目シートを後ろ向きにセットすると、テーブルを挟み対座してダイネットが形成できる。
ベッドは、シートを全てフラットにしてフロアベッドとするほか、後部に上段ベッドをセットすることができる。
これにより、計4名が就寝できる。


更に、ベッドボードを全て取り除くと、後部は広い荷室となる。
ギャレーや大きな収納家具を持たない分、後部の障害物が無いので、自転車など大きな荷物の積載も可能。
日常ユースから、車中泊までこなせ、しかもおしゃれなインテリアを持つファミリーカーである。


アクシスは、コラージュと同じコンセプトで、ほぼ同じレイアウトを持つが、エントリーモデルの位置付け。
2列目シートにはREVOシートを採用し、機能的にはコラージュと比べて遜色ない。
コラージュ同様、オプションでFFヒーター、サブバッテリー、インバーターなどを装備することもできる。



オーエムシー カーゴプラス
同社のモデルとして、このカーゴプラスの他にボギーもエントリーしているが、ボギーが乗車人数と居住性に重点を置いているのに対し、カーゴプラスはその名の通り、荷物の積載にも重点を置いている。
そのため、後部は広く積載スペースを取っており、自転車などの大型物も積むことができる。
なお、NV350キャラバンでも製作可能。

レイアウトは2列目に自在シートのFASPシートを装備、前向き乗車も可能としている。
また後ろ向きにすると、3列目のシートとテーブルを介して対座できるダイネットとなる。



シートを全てフラットにすると1850x1450mmのフロアベッドとなる。
ただし、足元は、両側の収納ラックのため幅が850mmとなり、2名で就寝する場合は、足元が多少狭く感じるかもしれない。
後部上段にベッドボードを渡すと、上段ベッドになる
こちらは1800x1500mmあるので、大人2名がゆったり就寝できる。
最後部には、両側に収納ラックがあり、ベッドボードはここに収納できるので、車内が煩雑になることは無い。


ギャレーは装備していないが、車外で使えるシャワーフォーセットが付いており、収納ラック内の給水タンクで水が使える。
足を洗ったり、ペットを洗ったりする場合重宝するだろう。



オーエムシー ボギー
ボギーは、2列目シートにFASPシートを使用しているのはカーゴプラスと同じだが、3列目シートは2人掛けの前向き固定シートを配する。
2列目シートを後ろ向きにすると、5名が対座できるダイネットを形成する。
前向きにすると、3列目シートも含め、7名が前向き乗車できる。


シートを全てフルフラットにすると、1800x1500mmのフロアベッドになり、大人2名がゆったり就寝することができる。
カーゴプラスでは収納ラックで足元が狭くなったが、ボギーではそのようなことは無い。
また、後部に1600x1000mmの上段ベッドをセットでき、ここには子供2名が就寝できる。


最後部には、両側に収納ラックが設置されているが、右側のラックは深い奥行きを持っており、十分な広さのギャレーが装備されている。(写真下左)
オプションの電子レンジも、ここにビルトインされる。(写真下中央)
また、左サイドのラックは、オプションの上蓋式冷蔵庫をビルトインすることができ、調理に必要な機器はすっきり収納される。(写真下右)


ただし、上段ベッドをセットしたとき、シンクは使えない。
上段ベッドをセットしないときでも、ボードの収納場所になっているので、シンクを使う場合はボードを別の場所に置く必要がある。
なお、シンクのシャワーフォーセットとは別に車外用のシャワーフォーセットが用意されている。
ペットがいる場合には、足を洗ったりするのに便利だろう。(写真下)


また、ギャレー前には床下収納庫が設けられており、ここにも収納が可能。
なお、この掘り下げにより、キャンピングカー登録のためのキッチン前の天井高要件を満たし、8ナンバーとしている。



カスタムセレクト ロードセレクトNL
ロードセレクトは同社のハイエースバンコンキャンピングカーのシリーズネームで、ハイエース各ボディ形状に応じたモデルが用意されている。
ロードセレクトNLはその中でも最も小型の標準ボディ、標準ルーフを使用したモデルで、取り回しを重視するユーザー向け。
ボディは小型であっても、ロードセレクトのコンセプトが凝縮されており、ロードセレクトの特徴である2ダイネットも健在。

レイアウトは、対座式メインダイネット、通路を挟んでその横にあるギャレー、そして、後部のハイマウントベッドの構成。
ロードセレクトの優位点は多々あるが、最大の優位点は標準ボディで常設ベッドを持っていること。
標準ボディで、全員が前向き着座でき、かつ対座ダイネットをセットできるうえ、常設ベッドを持つモデルは他にない。




2列目シートはFASPシートが標準となり、乗員全員が前向き着座できる。
また、後ろ向きにすると、3列目シートと対座できるダイネットになる。

ダイネットを展開するとフロアベッドになるが、これもロードセレクトのコンセプトを継承しており、テーブルを跳ね上げるだけで、ベッド展開が楽にできるよう考慮されている。
バンコンのベッド展開は複雑なものも存在するが、現実の使用を考え、10〜20秒でできるというのも、ロードセレクトのコンセプトとなっている。







ギャレーはコンパクトなものだが、標準装備のポータブル冷蔵庫が引き出し式ですっきり収納される。
給水タンクはベッド下の荷室に置かれるので、必要に応じてタンクの容量を選ぶことができる。
排水タンクは床下に17リッターのステンレスタンクを装備、排水はレバー操作で簡単にできるので、重いタンクを持ち運びする手間がいらない。

後部のハイマウントベッドは、大人が車幅方向に就寝できる。
通常、ハイエース標準幅ボディでは、エクステンションウインドウを装備しても大人の就寝は無理だが、ロードセレクトには、更に横幅を広げることのできる”ポップアップウインドウ”を装備。(写真下右)
これにより、1950x1200mmのベッドが可能となっている。
そして、このベッド下は大きな収納庫になっている。
更に、このベッドを展開してセカンドダイネットとすることが可能。
標準ボディでセカンドダイネットを持つモデルは、他にない。
また、セカンドダイネットはちゃぶ台スタイルにすることもでき、多彩なシートアレンジが可能である。



クラフトボックス クローバーバン
同社が製造するハイエースキャンピングカーは、スーパーロングベースのトラルド、ワイドロングベースのトレックスがあるが、このクローバーバンは、最も小さい標準ボディ標準ルーフをベース車とし、取り回しの良さを求めるユーザーに対応している。
ファミリーでドライブしたり、オーバーナイトのレジャーに使うことを想定しており、ミニバン+キャンピングカーの要素を求めるユーザーにアピールしている。


レイアウトは、2列目シートを後ろ向きにして、後部の二の字型シートで形成するダイネットと、最後部のギャレーで構成される。
2列目シートにはREVOシートを採用、前向きにすると、計4名が前向き乗車してドライブできる。
シートの前にはスピーカーを組み込んだセカンドボードが設置される。(写真左)

後ろ向きにすると、ダイネットとなるが、後部の対座する二の字型シートには、各2名がゆったり着座できるので、家族で寛ぐことができる。
全てのシートをフラットにすると、大人2名が就寝できるフロアベッドになる。
後部窓際に収納してあるベッドボードを後部ギャレーコンソール上にセットすると、子供用上段ベッドができ、子供2名が就寝できる。


最後部のギャレーコンソールは、左右に設置される。
左側にはシャワーフォーセットがあり、車外に引き延ばして、ペットの足を洗ったりすることができる。
シンクは装備されていない。
右側のコンソールにはポータブル温冷蔵庫が標準装備でビルトインされる。
ポータブルタイプなので、車外に持ち出して使用することもできる。
リアゲートに近いので、積み下ろしも比較的楽にできるだろう。


バンテック新潟 バンレボリューションVR470タイプ1
VR(Van Revolution)シリーズは同社のバンコン一大ラインアップだが、そのコンセプトは、機能性をシンプルに実現することにある。
即ち、数人で移動する、就寝する、多くの荷物を積むということにおいて、シンプルなソリューションを提案している。
VRシリーズに共通するのは、2列目シートにREVOシートを採用して、全員が前向きに着座、ドライブできること。
そして、フロアベッドに加え、後部にベッドボードを渡すことで、上段ベッドを設置できるようになっている。
これにより、ファミリーでも就寝可能としている。
特にVRシリーズの特徴としてこだわりを見せるのは、後部は広いラゲッジルームとし、自転車などの大型積載物も積めるようにしていることである。
2列目シートにオプションでバタフライREVOシートを選択できるのも、その表れである。
遊び道具を満載にして、ファミリーでキャンプする、というのがVRシリーズに似合ったシチュエーションであろう。


さて、VR470はハイエース標準ボディ、標準ルーフを使用したシリーズ中、最も小さいモデルである。
更にVR470にはNV350をベース車に選ぶこともできるし、ポップアップルーフを選択することもできる。
また、タイプ1とタイプ2があり、タイプ2は2列目、3列目シートともスライドレール付バタフライシートにすることにより、両シートとも折りたたんで前部に押しやり大きなカーゴスペースを得ることができる。

VR470タイプ1は、3列目シートを持たないため、タイプ2のように7〜8名乗車ではなく、5〜6名乗車となる。
2列目に座り心地の良い「REVO成型マルチシート」を採用しており、後ろ向きにすると、後部ベッドボードの簡易シートと対座できるダイネットを形成し、5名が団欒できる。
オプションで2列目シートをバタフライシートにすることができるのでトランポとしても使用できる。


更に、フラットにするとフロアベッドになり、後部の上段ベッドと合わせて、大人5名が就寝可能。
ダイネットを形成したままだと、上段ベッドは子供用として使用できるので、子供が寝た後も、ダイネットを使用できる。


後部の収納ラックにベッドボードを収納することができるので、車内が煩雑にならない。
ギャレーは持たないが、車外で使用できるシャワーフォーセットと給水タンクは装備される。



リンエイプロダクト ファシールバカンチェス
”ファシールバカンチェス”は、同社のベース車分類で、ハイエース標準ボディ、標準ルーフを使用したシリーズ名。レイアウトにより、「リッツ」や「サンティ」などの名称が付く。
例えば、リッツなら後部に上段ベッドを設置可能、サンティは本格的なギャレーを装備している。(写真下左右はリッツ)


ファミリーが前向きに着座でき、上段ベッドボードで就寝できるという条件を満たすのは、リッツ、チャイルドサンティ、ライルリッツである。
チャイルドサンティは、後部にロングシートと対面するギャレーコンソールを持ち、その上に上段ベッドをセットできる。(写真下左右)


また、ライルリッツは、2列目、3列目に前向きに着座できるシートを持ち、かつ上段ベッドをセットできる仕様で、7〜8名の乗車と就寝が可能。(写真下左右)











同社は豊富で多彩なバンコンラインアップを持つので、ファミリーが前向き乗車でゆったり就寝できるという条件だけでなく、家族の人数によってもセレクションできる。
ライルリッツは数少ない、多人数乗車+就寝ができるモデルである。。

まとめ
ハイエース標準ボディでファミリー向け、しかもポップアップルーフを持たない標準ルーフとなると、かなりレイアウトが限定されてくる。
そのしわ寄せのひとつはギャレーである。
ギャレーを持つタイプは、ボギー、ロードセレクトNL、ファシールバカンチェス(チャイルドサンティ)に限られてしまうが、ロードセレクトNL以外は、上段ベッドをセットするとシンクが使えなくなる。
ロードセレクトNLは、後部がセカンドダイネットとしても使え、居住性に重きを置くユーザーには適しているだろう。

ギャレーを装備しない分、トランポ的な装備があるモデルは、ファミリーワゴンS、カーゴプラス、クローバーバン、VR470が上げられる。
中でも、VR470は唯一バタフライシートを採用しているので、より大きなカーゴスペースが可能だ。

ファミリーが多い場合、2列目シートに加え、3列目シートも前向き着座でき、7〜8名が就寝できる必要がある。
これを満たしているのは、ボギー、ロードセレクトNL、VR470(タイプ2)、ファシールバカンチェス(ライルリッツ)であるが、VR470(タイプ2)とファシールバカンチェス(ライルリッツ)は3列目シートがリクライニングできるシートを採用している分、アドバンテージがあろう。

ハイエース標準ボディ標準ルーフでファミリーがゆったり移動し、就寝できるという厳しい条件ながら、各社から工夫を凝らしたモデルが多く出ている。
ユーザーの使い方に応じて、最適の1台が見つかるだろう。







2014.11.14



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