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エース565 エースキャラバンズ
エースキャラバンズはスペインのコーチビルダーだが、国内ではあまり知られていないかもしれない。
主に小型のトラベルトレーラーが輸入されていたが、ラインアップもそれほど多くなかったため、少し地味な印象だった。
そのエースキャラバンズから、初めて自走式モーターホームが輸入された。
2モデルだけで、しかもレイアウト違いなので、実質的には1モデルだが、しかし、今回は大きな話題になっている。
恐らく、今年初めに開催されたジャパンキャンピングカーショーのハイライトのひとつと言っても良いだろう。
初披露されたモデルはエース565。
ハイエースバンコンで幅広いラインアップを展開するフジカーズジャパンが輸入販売するが、エース565はフジカーズジャパンとエースキャラバンズの共同開発というだけあって、かなり国内での使い勝手が考えられている。
まず注目されるのが、左エントランスが標準仕様だということ。
輸入車で問題だったのが、右エントランスが一般的なこと。
左ハンドルは弊害ばかりではないが、やはり右エントランスは安全面から好ましくない。
生産コストの問題を考えると簡単なことではなく、今までの輸入車では考えられなかったことで、高く評価されるべきだろう。
なお、どうせなら右ハンドルも標準装備にして欲しかったところだが、これはオプション。
次にプロパンガスフリーであること。
欧州車ではプロパンガスが普通に使われているが、国内では旅先での補充を断られることが多く、不便な場合がある。
しかし多くの輸入モーターホームでは、そのあたりの仕様は変更せず、プロパンガスを使うことになっている。(カセットガスに交換できる場合もある)
エース565では、暖房と温水用にはべバストのデュアルトップを使用している。
これは、軽油で暖房、湯沸しができるもので、クルマの燃料と兼用する。
温水は11リッターを70℃まで加熱でき、水と混合して使う。
なお、温水システムとシャワーは標準装備されている。
3番目は、家庭用エアコンの搭載があらかじめ考えられていること。
エアコン自体はオプションだが、配管は標準でされているので、取り付けも大工事にならず、費用も抑えられる。
4番目は、発電機の搭載が考慮されていること。
発電機自体(ホンダ16i)はオプションだが、設置スペースは用意されている。
外部電源に苦労しない欧米では発電機は不要だが、国内では発電機は現実的な電気調達手段だ。
使用場所や状況が限られてはいるが、うまく使うと長期旅で電気が無くなってしまうということは無い。
そして5番目は電動プルダウンベッド。
このクラスで、この価格で、電動プルダウンベッドが標準装備されていることは驚きである。
これにより、家族でのクルマ旅が可能になる。
輸入車の多くでは、プルダウンベッド付きのモデルを選ぼうとすると、フルインテグレーテッド(フルコン)モデルを選ばなければならず、価格も高額になり、ボディサイズも相当大きなものにならざるを得なかった。
さて、今回輸入されたのはエース565CDとエース565LDの2種類のレイアウト。
CDは後部のベッドがハイマウントダブルベッド、LDは2段ベッドになっている。
それに伴って、他の部分も多少違いがあるが、前部にダイネット、中央にキッチンとサニタリールームという構成は変わらない。
上:CD 下:LD
ダイネットで大きく違うのは、CDは、欧州車によくある回転するフロントシートをダイネットの後ろ向きシートとして使う手法を採用しているのに対し、LDは固定の対座シートとしていること。
上がCDのダイネット、下がLDのダイネット
CDでは、後部のダブルベッドが前方向にスペースを取るため、2列目シートが犠牲になった格好だ。
LDの固定対座式の方が、いちいちフロントシートを回転する必要が無いが、CDのようにフロントシートを使う分、全体のスペースが有効利用できるというメリットもある。
キッチンは二口コンロと、独立したシンクがビルトインされている。
シンクが縦長方向に取り付けられているのは苦肉の策だが、それでもコンロとシンクを独立させたいという意思表示かもしれない。
調理スペースはコンロの前に多少あるが、あまり広いとはいえない。
コンロと一体になったコンビネーションシンクにして調理スペースを確保した方が良かったかもしれない。
冷蔵庫はエントランスを挟んだ反対側にあるが、80リッターあるので家族でも十分だろう。
サニタリールームはカセットトイレと温水シャワーが標準装備。
先に書いた通り、べバストのデュアルトップを使用しているが、70℃まで沸かした11リッターの湯と水を混合して使用する。
給水タンクは100リッターあるが、一度に使える湯は20~30リッターで、ぎりぎり2名分といったところ。
収納は、ベッドルーム、ダイネット上、キッチン上にオーバーヘッド収納が用意されている他、キッチンにも小物収納が用意される。
また、リアベッド下は大きな収納庫になっている。
写真上はCDのオーバーヘッド収納、下はLDのもの:デザインも異なっている
電装系は、105Ahのディープサイクルバッテリーが1個標準装備される。
走行充電、外部100V充電も標準で装備されるが、このクラスのモーターホームでは、やはりバッテリーが1個では心もとない。
オプションで追加バッテリーが設定されているので、最低もう1個追加する方が良いだろう。
インバーターは標準装備ではなく、350W、700W、1500Wがオプションで選択できるようになっているが、これは装備する電装品に合わせて選択するようになっているため。
家庭用エアコンや電子レンジを装備する場合は、1500Wのものが必要だ。
エース565は色々な面でエポックメーキングなモデルと言える。
デュカトベースの輸入モーターホームを、上位ではあるが国産キャブコンと競合できる価格で導入したこと、左エントランスで輸入車の大きな問題点を解決したこと、電動プルダウンベッドを標準装備にしてファミリーユースにも対応したことなど、輸入モーターホームをぐっと近い存在にした功績は大きい。
ビルダー | エースキャラバンズ |
|
車名 | エース565 CD | エース565 LD |
ルーフ架装 | ‐ | |
ナンバー区分 | 8 | |
乗車人数 | 4 | 7 |
就寝人数 | 4 | 6 |
リアベッド | ダブルベッド | 二段ベッド |
ダイネット展開ベッド | ○ | |
ダイネット | フロントシート回転対座 | 対座固定 |
プルダウンベッド | ○(電動) | |
ベース車 | デュカト5.3L | |
サブバッテリー | ○(105Ah x1) | |
バッテリー増設 | OP |
|
走行充電システム | ○ | |
外部100V入力/充電 | ○ | |
インバーター | OP(350W/700W) | |
大容量インバーター | OP(1500W) | |
ルーフベンチレーター | ○ | |
サンルーフ | ‐ | |
コンロ | ○(二口コンロ埋め込み式)) | |
シンク | ○ | |
給水タンク | ○(100L) | |
排水タンク | ○(100L) | |
冷蔵庫 | ○(80L) | |
電子レンジ | OP | |
サニタリールーム | ○ | |
ポータブルトイレ | ‐ | |
カセットトイレ | ○ | |
カーテン/ブラインド | ○ | |
FFヒーター | ○ | |
ルームエアコン | OP(家庭用エアコン) | |
シャワー設備 | ○ | |
温水装置 | ○ | |
発電機 | OP | |
アクリルウインドウ | ○ | |
サイドオーニング | ‐ | |
ソーラーシステム | OP(145W) | |
全長(mm) | 5780 | |
全幅(mm) | 2290 | |
全高(mm) | 2650 | |
価格(万円) | 675万円〜(2WD) |
685万円〜(2WD) |
2016年6月現在 (○は標準装備/OPはオプション)
価格は千円台切り上げ(税別)
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