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シチュエーション別キャンピングカー選び 第16回(後半)
エアコン装備のバンコン




前半ではエアコンを搭載できるバンコンモデルのうち、通常のサブバッテリーで駆動するモデルを集めた。
後半では、リチウムバッテリーを使用するモデルと、発電機を使用するモデルを解説する。

●リチウムイオンバッテリーで駆動するモデル
リチウムバッテリーについては、以前の記事を参照いただきたいが、従来のディープサイクルバッテリーに比べて効率が良く、大電力の取り出しにも耐久性があるので、エアコンの駆動には向いている。
KULOS”のように大容量のリチウムバッテリーの場合なら、エアコンの駆動時間も長くでき、十分実用に耐える。
運用上の問題点は、充電である。
大容量で消費する電力が多いほど充電には時間がかかり、走行充電やソーラーパネルだけでは追いつかない。
例えば、400Wのソーラーパネルを積み、最良のコンディションが続いたとして、30Aで充電し続けたとしても、KULOSの5100Whの容量をフル充電するには、14時間くらいかかる計算になる。
リチウムバッテリーは充電効率が鉛バッテリーよりも良いが、それでも大量消費された電力を補うには、やはり時間がかかるのである。
大容量バッテリーであっても、電気を節約しながら使うということには変わりない。
消費量が少なければ、少々曇りの日が続いたり、走行しない日があっても、電気が枯渇することはなく、走行充電や晴れた日の発電で補うことにより長期旅も可能となる。


インプラス キャンパー鹿児島

同社が、リチウムバッテリーシステム開発会社ベネテックスと組んで開発したリチウムバッテリーシステム”KULOS”を標準搭載するインプラスは、KULOSのコンセプトモデル的な存在でもある。
インプラスにはエアコンも標準装備され、KULOSの大容量リチウムバッテリーで10時間以上稼働できる。
また、IHコンロや19インチテレビ、電子レンジなども標準装備され、大容量バッテリーならではの快適空間を提案している。
レイアウトはKULOSも収納されるギャレーコンソールと、それに向かい合うロングソファの組み合わせで、ふたり旅向け。


レム セカンドアクト クロスバージョン キャンパー鹿児島
車名からも連想されるように、睡眠を重視したレイアウトで、後部ベッドルームが引き戸により完全個室になる。
クロスバージョンは、このレムにリチウムバッテリーシステム”KULOS”と家庭用エアコンを標準搭載したモデルで、より快適性を追求している。
ダイネットは2列目にREVOシートを使用した対座シートで、エアコン室内機はダイネット上部に取り付けられる。


ラグフォート RVウエスタン
車名からも分かるように、ラグジュアリーなインテリアが持ち味の、ハイエーススーパーロングをベース車にしたモデル。
ラグフォートもKULOSシステムをオプションで搭載することができ、家庭用エアコンやIHコンロを駆動する。
家庭用エアコンはオプションで、KULOSシステムと組み合わせた場合は、長時間の運転が可能になる。
前部にギャレーコンソールが置かれ、KULOSとエアコン室内機もコンソールに隣接しておかれている。
後部は広いコの字型ダイネットで、電動式昇降テーブルを囲んで団欒できる。
ボディ両側面のウインドウに断熱架装されており、冷暖房の効率を上げている。


銀河エアコン仕様 オーエムシー
銀河は同社を代表するハイエーススーパーロングベースのバンコンで、夜行寝台列車の個室をイメージし、常設2段ベッドを装備する。
エアコン仕様は、家庭用エアコンとリチウムバッテリーを標準装備。
リチウムバッテリーはオンリースタイルの200Aのものを使用する。
200Aというと、100Aのディープサイクルバッテリー2個分程度と思われるが、ディープサイクルバッテリーは放電電流が大きいほど容量が低下する”容量低減”という性質があるため、現実的にはディープサイクルバッテリー4個分程度の容量がある。
エアコンはギャレーの上部に設置し、室外機はギャレーコンソール内に収納する。
排気は、ボディの側面に排気口を設けている。
エアコンは、真夏の昼にマックスで運転して4時間程度、夜なら10時間程度運転可能としている。



●発電機で駆動するモデル
発電機を使用してエアコンを駆動するのは、分かりやすい方法ではあるが、発電機の騒音の問題や収納スペースの問題が、バンコンでは特に大きくなってくる。
少なくとも、夜の道の駅などでは使用できないので、発電機まで積む価値があるのかと言う意見もある。
ただ、ある程度防音がしてあれば日中なら使える場合も多く、何より、長期旅では電源の確保面では安心できる。


スーパーエース テッツRVセンター
スーパーエース(フルパッケージ)はテッツRVが製作する、ハイエースワイドワゴンをベース車に使用し、ロキシールーフと呼ぶバンク付きハイルーフを架装したモデル。
同社は早くから家庭用エアコンをキャンピングカーに搭載しており、スーパーエースも当初から装備している。
室外機は、ロキシールーフのリアエンドに乗せられており、室内機はダイネットルームの後方に取り付けられている。
スーパーエースの特徴は、エアコンのみならず、発電機(ホンダ16i)も搭載していること。
エアコンは、100Ahのバッテリー2個使用で4時間程度駆動できる。
発電機は密封されているので排気は車外に排出されるが、やはりノイズと振動は車内に入ってくるので、静かとは言い難い。
しかし、昼間なら発電機を使用できる場所は多く、昼は発電機で、夜はサブバッテリーで、という使い方ができ、エアコンの使用はかなり現実的である。
スーパーエース(フルパッケージ)は、この他、温水シャワーやカセットトイレが標準装備されるなどキャブコン顔負けの充実装備を誇る異色のモデルである。


まとめ
以上見てきたように、エアコンが搭載できるバンコンは、あまり多くない。
エアコンが搭載されるキャブコンがどんどん増えている一方で、やはりバンコンにはスペース的な問題が立ちはだかる。
しかし、ここに取り上げたモデルのように、エアコンを搭載できるバンコンも徐々にではあるが増えつつある。

ところで、キャンピングカーにエアコンは必要か、という議論は多い。
そもそも、エアコンが必要無いところへ行って過ごすためのキャンピングカーなのだから、キャンピングカーにエアコンなど必要ない、というのがひとつの理由だろう。

しかし、今やキャンピングカーはキャンプするだけのクルマではない。
遊園地に遊びに行ったり、趣味で写真や釣りをしたり、温泉に行ったりと、必ずしも涼しいところで過ごすわけではないのである。
こんな時、エアコンがあると、車内で涼しい時間を過ごすことも可能だ。
実際キャンピングカーに乗り始めると、エアコンが欲しいという場合が結構あることに気付く。

キャンピングカーを検討するとき、自分の使い方をシミュレートしてみて、もしエアコンが必要な場面がありそうなら、使う時間と駆動方法を考えてみることをお勧めしたい。







2015.06.20







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