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レクビィ　シャングリラ

暑い夏、キャンピングカーで避暑地や高地で涼しく過ごすのは、キャンピングカーライフの醍醐味である。しかし、キャンピングカーと言えども、いつも涼しい避暑地や高地ばかりにいるとは限らない。時には熱帯夜をクルマの中で過ごさなくてはならない場合がある。窓を全開にするも虫が入ってきたり、トラックの騒音がうるさかったりで、エアコンがあればどんなに快適かと思うことが多々ある。
そのような背景からか、キャンピングカーのエアコンは、今や希望の多い装備の一つである。現在ではキャブコンなら搭載を前提に設計されたものが多くなってきた。

一方バンコンはというと、スペースの面から、家庭用のエアコンの搭載はかなり難しいことであった。今までも、家庭用エアコンが搭載されたバンコンと言えば、テッツRVセンターのスーパーエースとしろくまくん、そしてリーエキスポートのハイエースジュニア、あるいは、家庭用エアコンではないが、ウインドウエアコンをビルトインしたM・Y・Sミステイックのウインピュアシェルラやマティアスが上げられるが、多くは無い。
バンコン用のエアコンと言うと、ルーフエアコンが思い浮かぶが、これはかなりの重量物をルーフに取り付けるため、ルーフの補強が必要であったり、重心が高くなることから来る走行性能の低下など、あまり良い手段ではなかった。

家庭用エアコンは、販売されている台数の多さから、信頼性、騒音性、省電力、コスト面では開発が進んでおり、理想的な存在である。ただ、室内機と室外機がセパレートになっているため、特に室外機をどこに収納するかが大きな問題点となっていたのである。

今回登場したシャングリラは、真正面からこの問題を解決したと言える。コンセプトはカップルでの優雅なクルマ旅であるから、やはり夏も快適な空間であって欲しい。そのためエアコンは必需品である。シャングリラではこれをスマートに解決している。室外機は後部右側の窓を埋めて、そこに搭載しているのだ。室内機を含めるとかなりのスペースを必要とするが、そこはスーパーハイルーフのスペースを生かし、体裁よく収納されている。シャングリラはスーパーハイルーフ仕様しか設定されていないので、SLで同じことができるのかは分からないが、期待したいところである。

エアコンを作動させるには、シャングリラは発電機を積んでいないので、サブバッテリーか外部電源で駆動させることになる。最近の家庭用エアコンは省エネ設計もあり、サブバッテリーでも十分駆動できる。ただ、やはり時間的な問題はあり、数時間というところが限界である。他の電気器具も使うことを考えると、現実的にはもっと短い時間しかエアコンを使えない。そこで安心して使うには外部電源と言うことになるが、今までは外部電源を完備している施設はオートキャンプ場などしかなく、エアコンを使えるシーンは少なかった。しかし、ここに来て、道の駅でも外部電源を有料で用意しているところが増えてきた。道の駅のRVパークはもちろんだが、そうでないところでもAC100Vが用意されているところもある。

今後、外部電源を装備している道の駅などが増えてくると、キャンピングカーのエアコン需要は高くなってくるだろう。これからはシャングリラのように家庭用エアコンを搭載したバンコンが増えるかもしれない。

シャングリラのもう一つの特長は温水シャワーである。後部に完全防水されたシャワールームが完備されており、ボイラーで暖めたお湯でシャワーが使えるのだ。これは同社のカントリークラブやファイブスターでも可能で、お湯を使えるありがたさを知っているユーザーには、うれしい装備だろう。スーパーハイルーフなのでシャワールームも十分大きい。
そして、ダイネットはお洒落な三角形のテーブルとL字型ラウンジソファで演出されている。もはやそこはモダンリビングといえるような空間で、ゴージャスなひと時を過ごせるだろう。
断熱効果と防音効果の高い二重窓もクオリティの高い空間を支えている。

一方で、常設ベッドが無いことは、知っておかねばならない点であろう。就寝するためには、ダイネットを展開してベッドにする必要がある。グラスや食器を片付け、ベッド展開し、寝具をセットしなければならない。寝具の収納場所も考えておく必要がある。居場所が無くなるので、一人が就寝すると、もう一人も付き合って就寝しなければならないのである。

しかし、質の高い二人旅用のバンコンがまた一つ誕生したことは間違いない。ファイブスターやカントリークラブも、間違いなくインテリア性の高い空間であったが、このシャングリラはエアコンが標準装備されたことにより、もう一つ高いレベルの快適空間を実現したと言える。