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シチュエーション別キャンピングカー選び 第10回
ハイエース標準ボディハイルーフベースで優雅なふたり旅(後半)

今回は、カップルにお勧めするハイエース標準ボディハイルーフベースのキャンピングカー、後半である。
今回も、5モデルをピックアップして解説する。

・ハイエースサルーンコンポ ナッツRV
・クエストミヤビ バンテック新潟
・フォックスSn フジカーズジャパン
・バカンチェスふたりのくるま旅 リンエイプロダクト
・ハイエースプラスLV レクビィ

ハイエースサルーンコンポ ナッツRV
同社の豊富なラインアップの中で、唯一、ハイエース標準ボディを使用したもので、同社の中では最も小さいサイズのモデルである。
レイアウトはギャレーコンソールを配置し、後部は広い対座ロングシートのダイネットとする標準的なもので、カップルで使いやすいレイアウトである。
後部のダイネットは、ゲストがあっても、ゆったり着座することができる。
また、このタイプのダイネットの場合、シートの間隙を背もたれで埋めるだけでフロアベッドになるので、シニアのカップルでもベッドメーキングに大きな力を要することは無い。

ギャレーコンソールには、丸型シンクと、シャワーフォーセット、冷蔵庫(オプション)がビルトインされる。
また、その下には各10リッターの給排水タンクが収納されている。
これらはエントランスから近いので、給排水タンクの運搬も比較的楽である。
調理スペースも確保されており、コンロを置いて調理することもできる。
収納面では、ギャレー上部から後部まで繋がる大きなオーバーヘッドコンソールが標準装備される。
長期旅では、何かと荷物が多くなるので、収納力は重要な要素である。




クエストミヤビ バンテック新潟
ユニークさでは、トップクラスに属するモデルで、同社ではハイエーススーパーロングをベース車に、和室を構成したクエストも存在する。
このクエストミヤビは、なんとこの和室をハイエース標準ボディで実現した。
和室の作りこみは完璧で、掘りごたつ風テーブルも良くマッチしている。
温泉に浸かった後、和室でほっと一息、というシチュエーションはシニアなカップルに受けるだろう。

装備面も手を抜いているわけではなく、前部に置かれたギャレーコンソールには、丸型シンクとフォーセット、その下には、各10リッターの給排水タンク、電子レンジがすっきり収納されている。
冷蔵庫は多少容量が小さいかも知れないが、15リッターの上開き冷蔵庫が、これもすっきり収納される。
更に、ギャレー上部にはスカイライトウインドウが装備され、ルーミーな室内にしている。
ひとつ注意しなければならないのは、このギャレーに阻まれて、運転席、助手席から後部に行くときには、一度車外に出なければならないことである。
雨の日などは、ちょっと憂鬱である。
もちろん、少し無理をすれば、ギャレーコンソールを乗り越えて後部に移動することはできる。
フォーセットがシンクの中に折りたたんで収納でき、上蓋が付いていれば、乗り越える場合の危険度は小さかったかもしれない。

収納は、和室の上部にオーバーヘッドコンソールが両側に設置され、小物の収納が可能。
また、和室下は、そのままおおきな収納庫になっており、大きな荷物も収納できる。

テーブルの脚は折り畳み式になっており、これを折りたたみ床にはめ込み、その上に畳を置くと、後部は全面畳の部屋になり、ここに寝具を敷いて就寝する。
ただし、テーブルを片付け、足を折りたたみ、下から畳ボードと寝具を取り出し、テーブルと畳ボードをセットし、寝具を敷く、という作業は多少面倒かもしれない。
掘りごたつ風でなくても良ければ、常に全面畳部屋にしておき、小さなちゃぶ台を別途乗せておけば、就寝前の作業は多少軽減されるだろう。







フォックスSn フジカーズジャパン
ハイエーススーパーロングから軽キャンピングカーまでラインアップされている同社のFOCSシリーズのうち、ハイエース標準ボディハイルーフをベース車にしたものがフォックスSnである。
このモデルの特徴は、ツインベッド。
今回の特集の中でも最も一般的なレイアウトである、前部にギャレー、後部に二の字型対座シートと似た構成であるが、後部のシートをシートではなくツインベッドと定義したところに、このモデルの特徴がある。
即ち、常設ツインベッドをダイネットシートとしても使用しているわけだ。
そして、シート間を埋めてベッドにする作業を不要のものにしている。
カップルでの使用に割切ったからこそできるのだが、実にスマートなアイデアと言える。
しかも、横になったとき、頭の部分はコンソールに隠れて、お互いの顔が見えなくなっており、ちょっとした囲まれ感により落ち着く空間となる。

同社ではシンプルモダンホテルスタイルと銘打っているが、まさにホテルのベッドのように、それぞれの読書灯があり、AC100Vのコンセントがあり、オーバーヘッド収納がある。
また、中央には、各ベッドを区切る大きなクローゼットが設けられている。
更に、中央下の引き出しがナイトテーブルになるというアイデアも良く考えられている。

ダイネットテーブルは小ぶりで、あまり食器が乗らないが、使わないときは折りたたんで収納することができる。
収納する必要が無いなら、多少大き目のテーブルをオーダーすることができるかもしれない。

ギャレーコンソールは前部に設置されている。
ここには、シンク、各10リッタの給排水タンク、冷蔵庫、電子レンジがすっきりビルトインされている。
冷蔵庫は49リッターと大型のもの、そして電子レンジも標準装備である。
シンクは小ぶりではあるが、食器の洗浄は可能。
給排水タンクも、エントランスの近くなので、取り出しも比較的楽である。
ただし、ギャレーコンソールがあるので、運転席、助手席から後部に移動するのは苦労するかもしれない。
シニアにとっては、このようなところが結構大きな問題になる。
ただ、シンクは蓋ができるし、フラットな部分が広いので、座りながら体を回転させ、乗り越えることは可能だろう。

ほぞと溝を組み合わせる、宮大工工法が同社の特徴で、家具の組み付け、耐久性には定評がある。
また、冷蔵庫、電子レンジに加え、1500Wの大容量インバーターや、更には105Ahのサブバッテリーが2個標準装備されるのも、現実性を考えた良心的な装備と言える。






バカンチェスふたりのくるま旅 リンエイプロダクト
同社の”バカンチェスふたりのくるま旅”シリーズでは、”ダイネット”、”ツイン”、”プライベート”など、多くのバリエーションがあるが、ここでは”プライベート”を取り上げる。
”バカンチェスふたりのくるま旅”シリーズは、特にカップル向けに企画されたレイアウトと、比較的落ち着いたインテリアで、夫婦二人のくるま旅を想定している。
このプライベートの特徴は、他にあまり例を見ないユニークなレイアウトで、そのレイアウトのコンセプトと言ってよいだろう。
即ち、夫婦二人でくるま旅をしていても、プライベートな時間と空間は大切にしたい、という考えである。
そのレイアウトを見ると、前部に2名対座のダイネット、後部はロングソファとそれに対面したギャレーコンソールが配置されている。
後部のソファは、そのままでも1名就寝できるが、通路部分に背もたれをはめ込むと、2名が就寝できるベッドになる。
前部のダイネットも展開すると、1名就寝できるベッドになる。
従って、先に奥さんが後部ベッドで就寝しても、旦那さんは前部のダイネットで飲んでいることもできるのである。
このとき、位置的には離れているので、後部で就寝する奥さんは、明かりや音で寝付けない、という悩みは、最大限回避できる。
旦那さんは、就寝する場合、後部のベッドに行っても良いし、ダイネットを展開してベッドにし、そこで就寝しても良い。
それぞれのスペースはカーテンで仕切っても良いだろう。
後部のベッドに行って就寝する場合は、ダイネットは片付ける必要は無い。

もう一つの”プライベート”の意味は、後部のベッドが、エントランス右側のクローゼットで目隠しされて、外部から見えないこと。
よく、エントランスドアを開けると、ベッドで寝ている人が外部から丸見えになるケースがあるが、この”プライベート”のレイアウトでは、後部のベッドのプライバシーは守られているのである。

ギャレーコンソールは大きなシンクと、40リッターの冷蔵庫が標準装備でビルトインされており、現地の食材などを冷凍しておくこともできる。
また、電子レンジは、クローゼット部分に収納することも可能。
オーバーヘッドコンソールも装備されており、収納面でも問題ない。

このレイアウトで考慮しておくべき点は、ベッドの幅に制限があること。
ベッド幅がもっと欲しいという場合は、”バカンチェスふたりのくるま旅”シリーズの中の、”ツイン”や”ダブル”を選ぶと良いだろう。
これらのレイアウトでは、車幅いっぱいにベッド幅を取っているので、2名がゆったり就寝することができる。




ハイエースプラスLV レクビィ
”ハイエースプラス”は、同社のバンコンラインアップで中核にあるシリーズで、スーパーロング、ワイドロング、そしてこの標準ボディハイルーフのLVがラインアップされている。
シリーズに共通するのは、アジアンテイストにもつながる網代仕立ての家具による、落ち着いた高級感のあるインテリアと、前部にギャレーコンソール、後部に対座ロングソファを配するレイアウトである。
2014年モデルで、それぞれ変更を受けているが、後部のカウチソファと呼ばれるロングソファは、より重厚感を醸し出し、高級感を増している。

このソファはベッド展開されるが、背もたれを通路に埋めるのではなく、シート自体をスライドさせる手法でベッド展開され、ベッド展開がより楽になった。
LVの特徴は、最後部のベッドエンド部分がリクライニングすることにより、足を投げ出してリクライニングできることである。
ベッド状態にしたときも、テーブルを残すことができるので、常にベッド状態にしておくという使い方もあるだろう。

前部のギャレーコンソールには、シンクと40リッター冷蔵庫がビルトインされる。
冷蔵庫は標準装備で、ドアパネルもトータルコーディネートされた網代仕立てになっている。
収納は、最後部のリクライニングを立てると背の高い荷物も積むことができる。
また、オーバーヘッドコンソールは両サイドに設けられ、大きな収納力を持つ。










まとめ
ハイエース標準ボディハイルーフで、カップルにお勧めできるモデルを10車紹介したが、ご自分のクルマ旅のスタイルに合うモデルは見つかっただろうか。

レイアウトで言うと、最も標準的なものは、前部にギャレーコンソールを設置し、後部は対座ロングソファの構成である。
今回のモデルで言うと、マティアスC、ロングトレイン、バースタイプ1、ハイエースサルーンコンポ、ハイエースプラスLVと、実に半数が、このレイアウトを採用する。
ウィズは片側だけがロングソファであるが、コンセプト的には近いだろう。
運転席、助手席から、後部までのシンプルな動線や、シート間を埋めるだけでベッド展開できる手軽さがこのレイアウトのメリットである。
各社、それぞれにテイストを加えて、オリジナリティの高いモデルとしている。

他方、このレイアウトは、就寝前にベッド展開が必須になる。
ベッド展開自体は簡単であるが、布団などを使う場合は、寝具を収納庫から引っ張り出したりする手間はかかる。
そのような理由から、後部は常にベッド状態にしているユーザーも少なくはない。

そこで、常設ベッドを求めると、リトルノアルカディア4.7とフォックスSnが浮上する。
リトルノアルカディア4.7は、このクラス唯一の完全な常設2段ベッドを持つレイアウトで、就寝に関しては一段上のアドバンテージを持つ。
更に、個室まで装備されていて、スーパーロング並の快適性を持つ。
ただし、その分ダイネットがシワ寄せを食っているのは否定できないが、常設2段ベッドと個室は、それを補って余りあるだろう。

フォックスSnは、ツインベッドというコンセプトを持ち込み、ダイネットとベッドを融合させて、プライベート性が高いベッドと、広いダイネットを同時に実現した。
このレイアウトも他にはないユニークなもので、アイデアの良さが光る。
狭い室内を共有するくるま旅では、夫婦と言えどもスペースと時間のプライバシーが大変重要で、疲れない長旅の秘訣となる。
バカンチェスふたりのくるま旅プライベートも、常設ベッドではないものの、コンセプト的には同じ位置に属するモデルであろう。

最後に、クエストミヤビは、完全な和室という全く別のコンセプトで、これもまた、唯一無二である。
価格は高価になるが、これだけ完璧な和室を、しかもハイエース標準ボディで実現したのは驚異的である。
ここに価値を置くユーザーなら、文句無しに買いであるほど、完成度は高い。

一方、装備面から見ると、やはり、マティアスCのクーラーは相当ポイントが高いだろう。
バンコンは、断熱処理が施してあると言っても、鉄板で囲われており、外気温に大きく影響される。
それゆえ夏の暑さは耐え難く、夏場の出動を躊躇するユーザーも多いはず。
しかし、エアコンやクーラーがあれば、夏場の出動も増え、結果的にキャンピングカーの使用頻度が上がる。
もちろん、暑ければエンジンを始動してクルマのエアコンをかければよいという意見もあるだろう。
しかし、
昨今のキャンピングカーにエアコンが搭載される動きから見ても、やはりエアコンやクーラーはあった方がはるかに快適である。

それ以外の装備面では、カップルでくるま旅をする場合、考えておくと良いのが、サブバッテリーのツイン化である。
長期旅になると、電気の確保が問題になってくる。
外部電源から補給するにせよ、ソーラーパネルを使うにせよ、やはりバッテリー容量は大きいほうが快適で、105Ahが2個くらいは必要である。
フォックスSnのように標準でツインバッテリーが装備されていれば良いが、2個収納できるスペースがあるかどうかも確認したい。
更に、冷蔵庫も、大きいほうが良いだろう。
2人で2〜3日分の食材を保冷しておくには、やはり40リッター程度の冷蔵庫が欲しいところである。
また、電子レンジは、ちょっとした調理には非常に便利で、これも是非装備しておきたい。
ただし、標準ボディではハイルーフと言えども、電子レンジをすっきり収納するスペースは厳しい場合がある。
電子レンジを取り付けるスペースが確保されているかもチェックしておくべきだろう。

最後に、収納である。
長旅では、何かと荷物が多く、これらを収納しておくスペースが少ないと、車内が煩雑になり、疲れが溜まってくる。
更に、行く先々のお土産などで、荷物は増える傾向にある。
ハイマウントベッドを持つスーパーロングで、ベッド下の収納庫のように、巨大な収納スペースがあると安心だが、標準ボディではなかなか難しい。
ソファ下の収納やオーバーヘッドコンソールなど、どの程度の収納力があるかも、チェックしておくと良いだろう。



2014.10.08


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