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リンエイプロダクト　マイクロバカンチェスひとりのくるま旅

キャンピングカーと言えば、家族でキャンプしたり夫婦でくるま旅をしたりというイメージが強いが、一人でくるま旅をしているというケースは、実は結構多い。
特に軽キャンピングカーのオーナーは、一人使用の割合が多いのではないだろうか。
しかし、今まで、最初から一人用として開発された軽キャンピングカーモデルは無かった。
「マイクロバカンチェスひとりのくるま旅」はまさに一人で使用することを前提にした設計となっているのが画期的である。

それでは、一人用とした場合、どのようなメリットがあるのだろうか。
もっとも影響が大きいのが就寝スペース、即ちベッドだ。
今までの軽キャンピングカーはもちろん一人でも使用できるが、二人用のベッドスペースを確保してあるため、どうしても設備は犠牲にせざるを得なかった。
例えば冷蔵庫はハイエースクラスのようにビルトインされたものはなく、小型のポータブル冷蔵庫を適当に持ち込むスタイルが多い。
サブバッテリーもハイエースクラスなら105Ahのものが一般的だが、軽キャンピングカーとなると小型のものしか搭載されていなかった。
当然、電子レンジを動作させるだけのパワーは無い。
また、家具類もシンプルになってしまい、収納が十分でない場合も多い。

しかし、一人仕様にすると、余裕ができたスペースを使うことができる。
マイクロバカンチェスでは、この余裕を生かし、まず、サブバッテリーをハイエースクラスのものにした。
これにより、電子レンジが使えるようになり、標準装備で家具に組み込まれている。
更に、冷蔵庫もハイエースクラス同様の40リッター上開きのものが標準装備されている。
食材を買うと、一人ではどうしても余ってしまい、これを保存しておくために40リッタークラスが必要なのだ。

そして、極めつけはCS/BS対応19インチテレビが標準装備されていること。
ひとりの場合、テレビを見る時間が多くなることを見越して、迫力のある大型のテレビを搭載しているのである。
ひとりでくるま旅をする場合、何が重要で、何が必要かがよく考えられた装備と言える。

もう一つ、従来の一般的な軽キャンピングカーと違うところがある。
それは２列目シートを取り外して、全面フラットな床にしていること。
多くの軽キャンピングカーでは２列目シートはそのまま使用し、４名乗車を確保しつつ、ベッド時はこれを倒して、この上にマットを敷く方法をとっている。
従って、キャンピングカーとして使用しない場合は４名乗車でき、通常の軽ワンボックスとして使用できるのである。
マイクロバカンチェスでは、これはできない。
しかし、割り切ったおかげで本格的な家具を置けたのと同時に、ベッドを常設化でき、寝心地の良い厚手のベッドマットを採用できたのである。
さすがにハイエースクラスのように、ベッドにしたりダイネットにしたりということはできないが、ベッドに座って実用性の高い大き目のテーブルで食事や作業をすることができる。

なお、マイクロバカンチェスは走行充電、1000ワットインバーターなど電装類も標準装備だが、ソーラーシステムまで標準装備されているのには驚く。
確かにこれだけの電気機器を維持するためには、走行充電だけでは不可能である。
天候にもよるが、100ワットのソーラーシステムがあれば、それなりに電気を賄うことができるだろう。
もちろん、電装品をふんだんに使用するわけにはいかないが、これにより、軽キャンピングカーでも優雅な一人旅を満喫することができるのだ。

さて、ここまで完成度が高いと、もう一つ欲しくなるのが、寛げるポジションである。
ちょうど助手席のスペースが空いているので、ここに後ろ向きにリクライニングシートを付けると良さそうだが、これはコストもかかるし、難しいだろう。
しからば、運転席の背もたれを前に倒し、シートバックを利用したリクライニングソファにしてはいかがだろうか。
これなら、足を延ばしてテレビを観ることもでき、長時間寛ぐことができる。
きちっと座ってテレビを観るというのは意外に疲れるものなので、こんなオプションがあれば嬉しいのだが。

「マイクロバカンチェスひとりのくるま旅」は、割り切ることによって軽キャンピングカーの新しいコンセプトを打ち出したエポックメーキングなモデルと言ってよいだろう。