1-8 災害とキャンピングカー

ツアーズワイドSGL

 ダイレクトカーズがいなべ市と包括協定を締結

最近の度重なる災害でクローズアップされたのが、キャンピングカーの活用でした。最近ではビルダーが市町村と災害時の協定を結ぶ例も出てきています。

プライバシーの確保とフラットなベッド

災害時に問題になったのが、避難先でのプライバシーの確保でした。混乱の中でのプライバシーの確保はなかなか難しいものがありますが、クルマがあったので、多少なりともプライバシーが確保できた、という例も報告されています。

しかし、その後に報告されたのは、エコノミー症候群でした。クルマの運転席を倒して寝ていたり、同じ格好で長く座っていることにより血流が悪くなり、やがてできた血栓で死に至る、というものです。

足を伸ばして就寝できるフラットなベッドさえあれば、結果は大きく違ったものになったでしょう。

このような経験を経て、キャンピングカーはレジャーだけのクルマではなく、災害にも役立つということが認知し始めました。そのため、最近では災害時のことも見据えてキャンピングカーを購入するというケースも増えています。

キャンピングカーで電気の確保

クルマが災害時に役に立つもう一つのケースは、停電時にクルマの電気を使えることです。プリウスPHVやアウトランダーPHEVで、クルマから電気を取り出して家に電気を送るという図を一度は見たことがあると思います。

 アウトランダーPHEVで給電

プリウスPHVではバッテリー満充電で8.8KWh、バッテリー満充電+ガソリン満タンで40KWhの電気が取り出せます。またアウトランダーPHEVでは13.8KWhのバッテリーが搭載されています。

これがどれほどの大きさかというと、キャンピングカーに通常使われている100Ahのサブバッテリーの11個分です。ただしこれは単純計算で、キャンピングカーのサブバッテリーは通常ディープサイクルバッテリーという鉛蓄電池が使われ、これは大電力を取り出す場合効率が悪く60%程度しか使えません。従って、実質的には20個分の容量になります。

キャンピングカーではサブバッテリーが搭載されているとはいえ、これほど大容量バッテリーではありません。 従って、家庭への電力供給は、キャンピングカーではあまり実用性の高いものではないと考えた方が良いでしょう。

しかし、発電機やソーラーシステムなどキャンピングカー自身で発電できるシステムを持っているモデルでは多少は外部給電はできるし、キャンピングカーの室内だけなら照明や低消費電力の電化製品を使うことは可能です。

災害時を想定したキャンピングカー

2020年に発表されたオーエムシーの「ZERO」は、2段ベッド、ラップポントイレ、リチウムイオンバッテリー、ソーラーシステムなどを備え、災害時に実際に使えるレベルまで装備を充実させたモデルです。キャンピングカーがあれば、このようにして車内で急場をしのぐことができます。

 



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